定年退職後の仕事として、中高年層に人気のある職業の1つに、マンション管理員があります。
でも、マンション管理員に興味を持っている人でも、実際の仕事内容はどんなことするのか
わからないという方もいます。
実際には、単身者や高齢者など、様々な住民の生活を快適に保つ必要があるため、マンション管理人の仕事は多岐にわたりあまり知らないことが多いです。
そこでここでは、マンション管理人の役割や仕事内容について詳しく紹介します。
また、求人傾向や資格情報などもご紹介するので、是非参考にしてみてください。
マンション管理人とは
マンション管理人は、マンションの清掃や設備点検などの管理業務を担当する仕事です。また、さまざまな背景や生活スタイルを持つ住民が集うマンションでは、建物の安全性と清潔さを保つとともに、住民の様々な要望やトラブルに対処する役割が求められます。
マンション管理人の役割
具体的には、マンション管理人は以下の役割を担います。
まず、住民の快適な生活を守るため、設備や施設の点検や異常の早期発見・修理を行います。また、不審者や迷惑行為をする人物が侵入しないよう、セキュリティ管理も重要な業務の一つです。
住民のマナー違反に対しては、指摘や注意を行い、トラブルを未然に防ぐことも大切な役割のひとつです。その他にも、ゴミの回収や共有部分の清掃など、マンション全体の管理を担当します。
マンション管理人が携わる主な6つの仕事内容
マンション管理人の仕事は、設備の点検、入居者やゴミ回収の手配、敷地内や共有部分の清掃などが含まれます。
単に「管理」と言っても、実際には多岐にわたる業務内容があります。以下では、マンション管理人が主に担当する仕事について詳しく見ていきましょう。
設備の点検
マンション管理人は、マンション内の設備点検や関連する作業を業者に依頼することが主な業務です。エントランスや廊下の電球が切れていれば、交換作業を行い、エレベーターに不具合があれば修理業者に依頼します。
特に、消防設備や分電盤に故障が発生すると、住民の生活に支障をもたらすため、定期的な点検が必要な重要な業務となります。
入居者やゴミ回収への立会
マンション管理人の仕事には、入居者やゴミ回収に関する業務が含まれます。
入居時には、設備の使い方やマンションのルール説明を行い、退去時にはセキュリティ解除や共用設備の鍵の受け渡しを担当します。
退去時には、退去者と一緒にマンション内の破損や汚染をチェックすることもあります。また、マンション管理人は、ゴミ回収に立ち合い、不法投棄や不適切なゴミの出し方などを確認する責任があります。
マンションの清掃
マンション管理人は、敷地内の清掃も担当します。
主に清掃する場所は、廊下や階段、エントランスホール、エレベーターなど、マンションの共有部分です。また、ゴミ置き場も清掃することがあります。
共有部分の清掃は、入居者が快適に生活するために不可欠な業務の一つであり、退去率の低下や入居率の向上にも影響します。そのため、非常に重要な仕事といえます。
マンションの受付
マンション管理人は、訪問者の受付も行います。
一般的な流れとしては、訪問者に来訪目的を尋ね、名簿に記載してもらいます。消防設備点検などの点検業者が来る際には、共有部分の鍵を貸し出す対応も行います。
管理人が受付にいることで、不審者の侵入を防止する効果も期待されます。これらの業務は、住民の安心・安全を確保する上で非常に重要です。
管理会社への報告
マンション管理人の仕事には、管理会社への報告業務も含まれます。
通常、マンション管理人は1日ごとに業務内容を管理会社に報告します。そのため、対応した内容を時系列に沿って記録し、整理しておくことも重要な業務の一つです。
また、マンション管理上の問題が発生した場合は、定時報告に加えて、その都度管理会社に報告する必要があります。
管理の補助
マンション管理人は、管理の補助業務も行います。具体的には、マンションの管理組合や管理会社からのお知らせを掲示したり、各部屋にポスティングしたりする仕事があります。
また、マンション管理組合の総会資料のまとめ作業や、アンケート集計作業などもマンション管理人の仕事の一つです。これらの業務は、マンションの円滑な運営を支える上で重要な役割を担っています。
マンション管理人の仕事内容の実態
マンション管理人は、人と関わることが多いため、トラブルも起こり得ます。具体的には、どのような要望やクレームがあるのでしょうか。この章では、マンション管理の実態を詳しく説明します。
住民からの要望は多種多様
マンションには、単身者やファミリー世帯、若い世代から高齢者まで、多様な住民が暮らしています。住民からは、ペットの捜索や掃除の要望など、さまざまな要望が寄せられます。
ただし、中には常識を逸脱した要望もあり、それに対処することは管理人にとっても頭を悩ませることになります。
住民同士のトラブルやクレームの対応もある
「共用スペースに私物を置いている人がいる」「上の階の足音がうるさい」など、住民同士のトラブルやクレームもあるようです。
これらの問題は通常、管理組合で解決されるべきものですが、住民の中には管理人を「何でも屋」と思って、彼らに報告することもあります。
このような場合、マンション管理人は管理組合に報告し、問題を仲介することが求められます。
仕事と私生活の両立がしやすい面も!
マンション管理人は、通常9時から17時までの日中勤務が主流で、緊急事態がない限り残業はありません。また、複数の管理人が交代で勤務する場合もあり、週末休みが取れる場合もあります。このため、プライベートとの両立がしやすく、その点がメリットとなっています。
マンション管理人の仕事内容はきつくない?
マンション管理員は、体力的な負担が少ない仕事です。清掃が主な業務であれば、受付や巡回が管理員の主な仕事です。適度に体を動かす程度で、体力面の負担は少ないです。
また、マンション管理員は1人で働くことが多く、対人関係によるストレスは少ないと言えます。普段から適切にコミュニケーションを取っていれば、居住者から苦情を受ける心配を減らせます。
さらに、マンション管理員にはノルマがなく、残業もほとんどありません。ですので、「マンション管理員はきつい仕事だ」という認識を改める必要があるかもしれません。
マンション管理人の仕事内容での3つの勤務形態
マンション管理人の業務は、土日祝日や早朝・深夜にも必要に応じて対応する場合があります。このため、マンション管理人の勤務形態には様々なパターンがあります。以下では、一般的なマンション管理人の勤務形態について説明します。
住み込み
マンション管理人は、マンション内に住み込みながら働く勤務形態です。管理人用の居室があり、そこで生活しながら業務に当たります。
夫婦での募集が多いのが特徴で、勤務時間は決まっていますが、トラブル発生時には早朝や深夜にも対応が必要となる場合があるため、その点がデメリットとなるでしょう。ただし、管理会社が家賃や光熱費を負担してくれる場合が多いため、住居費の面での負担は軽減されます。
常駐
マンション管理人が、毎日同じマンションに出勤し、定時勤務を行う形態です。勤務時間は、一般的に9時から18時などが一例です。この勤務形態は、正社員だけでなく、パートやアルバイトの募集もあります。
巡回
「巡回管理」とは、マンション管理人が週に数回、一定の曜日や時間に出勤し、複数のマンションを巡回して管理する働き方のことです。小規模のマンションでは管理人の人件費を抑えるために採用されることがあります。
このような仕事においては、正社員の求人は少なく、主にパートやアルバイトでの募集が多い傾向があります。マンション管理人の仕事に興味がある方は、巡回管理のアルバイトから始めてみるのも良いでしょう。
マンション管理人になるにはどうすればよい?
マンション管理人になるには、マンションの管理会社や管理組合から雇用され、所定のマンション管理人として配属されることが一般的です。
また、管理組合員の中から選ばれる場合や、オーナー自身がマンション管理人を務めることもあります。さらに、オーナーが直接、マンション管理人希望者と契約する場合もあるようです。
マンション管理人の仕事内容が向いている人の7つの特徴
マンション管理人は多様な業務を担当するため、コミュニケーション力があり、他人を助けることが好きな人などが適しているでしょう。このセクションでは、マンション管理人に向いている人の特徴を説明します。
見知らぬ人ともコミュニケーションが取れる
マンション管理人に向いている人の特徴の一つは、見知らぬ人とでもコミュニケーションを取れることです。入居者と良好な関係を保つため、マンション管理人は抵抗なく見知らぬ人と会話し、意思疎通を図る能力が求められます。
きれい好きで掃除のスキルが高い
マンション管理人は、頻繁にゴミ置き場や共用部の清掃を行います。そのため、きれい好きで細かなところまで目が行き届く人に向いています。また、ハチの巣や害虫に気づいたり、冬場に給水管が凍結していないかチェックしたりするなど、マンション管理人は細やかな心配りが求められる仕事です。
自分の仕事に責任を持てる
マンション管理人に向いている人の特徴には、自分の仕事に責任を持てることも挙げられます。マンションの管理人として働いていると、思いも寄らないトラブルが起こることもあります。そのような状況でも、業務の優先度を考慮した上で、問題を先送りせずに一つひとつ処理していける力が求められます。
体を動かすのが苦ではない
マンション管理人がやるべき業務は多岐にわたるため、次々と仕事をこなす必要があります。そのため、体を動かすことに積極的で、前向きな気持ちで作業に取り組み続けることが必要です。このような理由から、体を動かすことが苦ではない人には向いている仕事です。
コンピューターの基本的な操作ができる
マンション管理人には、コンピューターを使った業務もあります。たとえば、入居者情報や共用部の管理状況をデータベースにまとめたり、メールやSNSでの連絡を行ったりすることがあります。そのため、コンピューターの基本的な操作に熟練していることが望ましいです。
役に立つことが好きな人が向いている
マンション管理人には、住民から様々な要望が寄せられます。そのため、誰かの役に立つことが好きな人が向いています。マンション管理人であれば、業務範囲外であっても、住民の困りごとに対応する親身さが求められます。
豊富な人生経験がある人が向いている
これまでの人生経験が豊富な人も、マンション管理人に向いています。たとえば、営業経験がある人は折衝経験が豊富であり、マンション住民のニーズ把握力や問題解決能力に長けているでしょう。また、多様な人生経験を持っていれば、マンションに関するトラブルやクレームにも柔軟に対応できる可能性があります。
マンション管理人はシニア(定年後)の仕事として人気がある!
マンション管理員は、定年退職後に人気のある仕事です。特に、プライベートを大切にしたい人や健康に気を使いたい人にとっては、管理員の仕事はおすすめです。午前中に仕事をこなし、午後からは友人や趣味に時間を割くことができます。
この仕事は、清掃や巡回などで適度に体を動かすことができるため、健康維持にも役立ちます。実際、マンション業界のデータによりますとマンション管理人の平均年齢は、男性が69歳、女性が61歳となっています。
多くのマンション管理員は、感謝されることで喜びを感じ、さまざまな人との交流を楽しんでいます。やりがいを持って働いている人が多いのも特徴です。
マンション管理人の仕事求人に見られる5つの傾向
マンション管理人の正社員求人は、少ないと言われています。しかし、未経験者でも応募できる求人が多く、中高年者の採用に積極的な傾向があります。
20~30代でマンション管理に興味がある人は、高級マンションやタワーマンションのコンシェルジュを目指すことをおすすめします。コンシェルジュは、分業制が多いため、受付専門に特化することもできます。また、語学力を活かして外国人向けのマンション管理人になる方法もあります。
中高年からの応募が多いマンション管理人の求人
マンション管理人の求人には、定年退職後の中高年からの応募が多い傾向があります。
特別な資格が必要なく、体力がそれほど必要ではないため、人気が高く、人生経験が豊富で、幅広い年齢層の住民に対応できることが採用の決め手となるようです。
マンションの管理に興味がある方は、不動産業界での就職も考えてみてください。
都市部におけるマンション管理人の求人数の増加
高齢化や共働き世帯の増加により、マンションの需要が増えているため、都市部においてはマンション管理人の求人も多くあります。
特に女性向けマンションでは、女性管理人の求人が増加している傾向があります。
正社員の求人数の少なさと年収の低さ
マンション管理人の求人は、契約社員やアルバイトの非正規雇用がほとんどです。中高年の人からの応募が多いため、採用には困らないとされ、高い年収を期待することはできません。
月給で約15~16万円、時給で1,000円前後と言われていますが、大規模マンションで複数の管理人をマネジメントする立場になると昇給の可能性がある場合もあります。
また、資格を持つ者には資格手当を支給する管理会社もあるようです。
女性の求人の増加
女性管理人の求人が増加しているため、女性もマンション管理人の仕事で活躍することができます。
マンション管理人の仕事は、掃除や設備点検、来訪者の受付などで、特に体力や筋力が必要とされないため、女性が活躍することができます。
また、女性向けマンションでは、男性管理人よりも女性管理人が採用されることが多いようです。
夫婦で住み込みでマンション管理人をする人もいる
マンション管理人の求人状況として、夫婦で住み込みの管理人をする人もいます。
業務は多岐にわたり、楽な仕事とはいえませんが、必須資格がないため、定年後の夫婦でも挑戦できる仕事といえます。
マンション管理人の仕事内容に関するメリット、デメリット
メリット
- 求人倍率が高く、資格を持っていると就職に有利になる可能性がある。
- 住み込みマンション管理員になると、住居費がかからないため、生活費を抑えることができる。
- 全国に求人があるため、地方でも仕事を見つけることができる。
- 社会保険や退職金がある場合がある。
- 専門的な知識や資格がなくても働ける。
- 全国各地の学生・社員寮やリゾートマンションに求人があるため、地方で働くこともできる。
デメリット
- 夜勤がある場合があり、生活リズムが崩れる可能性がある。
- 住み込みの場合、プライバシーが保てないことがある。
- 外部とのコミュニケーションが多いため、ストレスを感じることがある。
- 建物のトラブルやトラブル解決のための対応が求められることがあるため、責任感が求められる。
マンション管理人の仕事に関連する資格の種類
マンション管理人に必要な主な資格には、「管理業務主任者」「マンション管理士」「マンション管理員」などがあります。しかし、特別な資格は必要ありません。
ただし、マンション管理に関する資格を持っていると、幅広い管理業務ができるため、採用や待遇面で有利になる可能性があります。
定年後のアルバイトやパートとして考えている場合は、資格を取る必要はありません。しかし、正社員として採用を狙う場合は、資格を取得することを検討してみましょう。
管理業務主任者
管理業務主任者の資格は国家資格で、一般社団法人マンション管理業協会が指定試験機関となっています。
試験科目は、法令・設備・会計・管理実務・マンション管理適正化法などです。受験資格は定められていませんので、受験手数料を支払えば誰でも受験可能です。
管理業務主任者は、管理会社に所属して、マンション管理のマネジメントを行います。専門知識を活かして、管理組合をサポートしたり、管理人を束ねたりする役割があります。
マンション管理士
マンション管理士の資格は国家資格で、公益財団法人マンション管理センターが指定試験機関となっています。
試験科目は、法令・設備・会計・管理実務・マンション管理適正化法などです。管理業務主任者と同じく、受験手数料を支払えば誰でも受験できます。
マンション管理士は、いわばマンション管理のエキスパートです。マンションの管理規約や大規模修繕の計画を策定するなど、管理組合の立場に立ってマンション管理をサポートする役割があります。
マンション管理員
マンション管理員検定は、一般社団法人マンション管理員検定協会によって試験が行われている民間資格です。
試験科目は、マンション管理総論・法令・実務などです。年に2回試験が行われ、受験手数料を支払えば誰でも受験可能です。
マンション管理人に関する資格の同時取得もおすすめ!
管理業務主任者とマンション管理士の資格には、学習内容が重なる部分が多いため、同時に取得するのがおすすめです。
管理業務主任者の試験では、マンション管理士の資格を持っている場合、一部の試験が免除される場合もあります。これら2つの資格を取得する前に、マンション管理員検定を受けてみることも良いでしょう。
マンション管理人の仕事内容を理解し定年後のキャリア幅を広げよう
マンション管理人の仕事を理解することで、就職の選択肢を増やし、自分自身の可能性を広げることができます。マンション管理人は、多くの人と関わるためにトラブルが発生することがありますが、同時に住民から感謝されることもあり、やりがいのある仕事です。
まとめ
- ミドルやシニアの求人が豊富であり、中高年からの人気が高い傾向にある。
- 女性の管理人も増えてきている。
- 仕事内容は、住民が快適に暮らせるよう努めることであり、建物設備の点検や敷地内の清掃など多岐にわたる。
- 勤務形態には、住み込みや通いでの常駐などがある。
- 人とのコミュニケーション能力や掃除スキルが高い人が向いている。
マンション管理人の仕事や内容に関するQ&A
マンション管理人の仕事でよくある疑問をQ&A方式で解決していきます。
マンション管理人とマンションコンシェルジュの主な違いは?
仕事内容にあります。マンション管理人は、建物の管理業務を主に行い、建物設備の点検や敷地内の清掃、住民のトラブル解決などを担当します。
一方、マンションコンシェルジュは、マンションの管理業務に加え、来訪者の受付やタクシーの手配、宅配便の発送など、ホテルのコンシェルジュのようなサービス業務も行います。
女性や若年層がマンション管理人になることも可能ですか?
可能ですが、中高年に人気がある職業であるため、就職の競争率が高くなる可能性があります。
一方、マンションコンシェルジュの仕事は接客スキルやサービス精神が求められるため、若年層や女性も比較的就職しやすい職種のひとつといえます。